ご相談の多い耳の症状・病気
耳鳴り
耳鳴りは、外部に音源がないにもかかわらず、耳の中や頭の中で「ジー」「キーン」といった音が聞こえる現象です。多くの人が一時的な耳鳴りを経験しますが、慢性的に続く場合は疾患が隠れていることがあります。
代表的には加齢による聴力低下、長年の騒音曝露による内耳障害、メニエール病や突発性難聴などの内耳疾患、さらに高血圧や動脈硬化といった血流障害や、強いストレス、睡眠不足なども関与します。耳鳴りそのものは命に関わる症状ではありませんが、生活の質を著しく下げることがあります。
めまい
めまいは、回転感やふらつきなどとして現れ、主に内耳や前庭神経の異常が原因ですが、脳の病気やストレスが関与することもあります。診断では、丁寧な問診と耳・神経の診察、必要に応じた検査によって「耳が原因か、脳が原因か」を見極めます。
代表的な病気には、体の動きで起こる良性発作性頭位めまい症、突然強いめまいが続く前庭神経炎、耳鳴りや難聴を伴うメニエール病などがあり、原因に応じた治療で改善が期待できます。一方、頭痛やしびれ、ろれつ障害を伴う場合は脳の病気が疑われ、早急な受診が必要です。
めまいは放置せず、早めに医療機関へ相談することが大切です。めまいについて、詳しくはこちらをご覧ください。
中耳炎
中耳炎には、大きく分けて 2つの種類 があります。
- 急性中耳炎
- 滲出性中耳炎

急性中耳炎
急性中耳炎は小児に多い疾患で、風邪をきっかけに発症します。鼻と耳は耳管と呼ばれる管でつながっていますが、風邪をひくと鼻や喉の細菌やウイルスが耳管を通じて鼓膜の奥にある中耳に侵入して炎症を起こします。
急性中耳炎では耳の強い痛みや高熱があり、鼓膜が赤く膨らみ、膿が溜まると鼓膜が破れて耳だれが出てきます。乳幼児は言葉で痛みを訴えられないため、泣き続けたり耳を触ったりして気づかれることが多いです。
治療は抗菌薬や解熱鎮痛剤、膿が多ければ鼓膜切開で排膿を行います。治りきらずに通院をやめてしまうと炎症が慢性化や反復してしまうことがあります。自己判断せずに、完治するまで治療することが大切です。
強い耳の痛みや発熱、耳だれがあるときは早めに受診してください。子どもが泣き止まない、耳をしきりに触るといった行動は受診の目安となるでしょう。また、大人の中耳炎は重症化する場合がおおく、子ども以上に適切な治療が必要です。めまいや難聴が出現する前に、早めの受診が望まれます。
滲出性中耳炎
滲出性中耳炎は炎症が慢性化して、鼓膜の奥にある中耳に液体がたまり続けてしまう疾患です。痛みはありませんが、耳が塞がった感じや聞こえにくさが続きます。診断は耳鏡による鼓膜観察や、ティンパノグラムで鼓膜の動きを確認することで行われます。滲出性中耳炎が長引く場合は換気チューブを鼓膜に留置する手術が検討されます。
慢性中耳炎
慢性中耳炎は鼓膜に穴があき、耳だれを繰り返す状態が続きます。治りにくいため耳鼻科での継続的な通院加療が必須です。重症例や再発を繰り返す場合には、鼓膜の穴を塞ぐ手術なども推奨されます。
外耳炎
外耳炎は耳の穴の皮膚が炎症を起こす病気です。耳かきで皮膚を傷つけたり、イヤホンの長期使用や不適切使用などが原因で発症します。最初は耳のかゆみ程度ですが、次第に強い痛みや耳だれが出てきます。耳を引っ張ったり押さえたりすると痛みが強まるのが特徴です。 カビなどの原因で生じる外耳道真菌症は、特に治りにくく頻回な外来処置が必要となります。
耳の痛みやかゆみが強い、耳から膿や血が出る、耳の穴が腫れてふさがってきた場合は早めに受診してください。糖尿病の方は悪化しやすいため、特に注意が必要です。
メニエール病
メニエール病は、内耳にリンパ液が過剰に溜まり、発作的にめまいと難聴を繰り返す病気です。30〜50代の女性に多く、過労やストレス、睡眠不足、塩分摂取が発作の引き金になります。 典型的な発作では、突然ぐるぐる回る強いめまいが数十分から数時間続き、その間に耳鳴りや耳の詰まった感じ、難聴が出現します。
「めまい=メニエール病」と言われることがありますが、実際にはめまいの原因はさまざまです。メニエール病の診断には、聴力検査などの耳の詳しい検査が欠かせません。耳の状態をきちんと確認することで、メニエール病か、他の原因によるめまいかを正確に見分けることができます。 めまい発作を繰り返す、耳の詰まり感や耳鳴りを繰り返す場合は、ぜひ耳鼻咽喉科での専門的な診察をおすすめします。
治療は発作時に抗めまい薬や制吐薬を使い、寛解期には利尿薬や血流改善薬を用います。生活習慣の改善として減塩、十分な睡眠、ストレスの軽減が重要です。
難聴
難聴は「音が聞こえにくい状態」全体を指す言葉で、病名ではなく状態名です。原因・進行スピード・回復の可否はケースごとに大きく異なります。自覚しにくく、気づいたときには進行していることも珍しくありません。
聴力検査の結果、治療での改善が難しい難聴が確認された場合は、当院の補聴器外来での評価をおすすめします。
「まだ早いかな」と感じる方ほど、実際にはメリットを実感しやすい傾向があります。聞こえにくさを我慢するより、まずは相談し、試してから判断する。それが、後悔しない選択です。
難聴の主なタイプ
難聴は、障害が起きている場所によって大きく3つに分かれます。
① 伝音難聴
音を伝える経路(外耳・中耳)に問題がある状態です。
- 原因:耳垢栓塞、中耳炎、鼓膜穿孔など
- 特徴:音量を上げると聞こえることが多い
- 治療:薬・処置・手術で改善しやすい
② 感音難聴
音を感じ取る内耳や聴神経の障害による難聴です。
- 原因:加齢、騒音、薬剤、内耳の病気など
- 特徴:音は聞こえても「言葉が聞き取りにくい」
- 治療:元に戻らないことも多く、早期対応が重要
③ 混合性難聴
伝音難聴と感音難聴が同時に起きている状態です。
- 高齢者や慢性中耳炎で多く見られます。
進行の仕方による分類
- 急性:短期間で悪化(突発性難聴など)
- 慢性:徐々に進行(加齢性難聴、騒音性難聴)
慢性タイプは「慣れてしまう」ため、受診が遅れがちです。
突発性難聴
突発性難聴は、ある日突然片耳の聴力が大きく落ちる病気です。朝起きたら片方の耳が聞こえない、電話で相手の声が聞き取りにくいなどで気づかれることが多く、めまいや耳鳴り、耳が塞がった感じを伴うこともあります。原因は不明ですが、内耳の血流障害やウイルス感染、ストレスなどが関与すると考えられています。
治療はステロイド薬が中心で、発症から1週間以内に開始することが最も重要です。ある日突然片耳が聞こえなくなった場合は、放置せずに、できるだけ早く耳鼻科を受診してください。
耳の病気に関するよくあるご質問(FAQ)
耳鳴りは放っておいても大丈夫ですか?
一時的な耳鳴りであれば、体調や疲労、ストレスによって起こることがあり、自然に改善することもあります。しかし、数日以上続く耳鳴りや、片側だけ強く聞こえる耳鳴りは要注意です。特に「ゴーッと低い音が持続する」「耳の詰まった感じを伴う」「めまいが同時に起きる」といった場合は、突発性難聴やメニエール病などの病気が関わっている可能性があります。耳鳴りは軽視されがちですが、内耳や脳の病気のサインとなることもあるため、耳鼻科での検査をおすすめします。
めまいは三半規管の病気だけで起こるのですか?
めまいの多くは内耳にある三半規管や前庭の異常によって起こります。しかし、それだけではありません。小脳や脳幹の病気、脳梗塞、心臓の不整脈による脳血流の低下でもめまいが起きます。また、貧血や低血圧、更年期に伴うホルモンの変化でもめまいが生じることがあります。もし「めまいに加えて手足のしびれや言葉のもつれ、歩行のふらつき」がある場合は、中枢性の原因を疑い救急受診が必要です。めまいは「よくある症状」と思われがちですが、背景に重大な病気が隠れている可能性もあるため注意が必要です。
中耳炎は子どもによくかかると聞きますが、なぜですか?
小児が中耳炎にかかりやすいのは、耳管という鼻と耳をつなぐ管が大人に比べて太く、短く、水平に近い角度であるためです。そのため、風邪をひいたときに鼻や喉のウイルスや細菌が簡単に耳へ届いてしまいます。さらに、子どもの免疫機能は発達途中であるため、感染に対して十分に抵抗できず、中耳炎を繰り返しやすいのです。耳の痛みや発熱、耳だれといった典型的な症状があるほか、乳幼児では痛みを訴えられないため「耳を触る」「夜泣きが増える」といったサインに注意する必要があります。
外耳炎は耳かきのしすぎで起こると聞きましたが本当ですか?
はい、本当です。外耳炎は耳の穴の皮膚に炎症が起きる病気ですが、耳かきを頻繁に行うと皮膚を傷つけ、そこから細菌が感染してしまうのです。夏場にプールに入った後や、入浴後の湿気で細菌が増えることもあります。典型的な症状は「耳を引っ張ると痛い」「かゆみや耳だれが出る」です。予防のためには「耳かきは必要以上にしない」「耳の中はなるべく触らない」ことが大切です。
メニエール病はストレスで悪化するのですか?
はい。メニエール病は内耳にリンパ液が過剰にたまることで起こる病気ですが、ストレスや睡眠不足、過労は発作の大きな引き金となります。典型的な症状は、ぐるぐる回る強いめまい、耳鳴り、耳の詰まった感じ、そして難聴です。発作は数十分から数時間続き、その後は症状が軽くなることもありますが、繰り返すうちに聴力は徐々に低下します。治療は薬物療法に加え、生活習慣の改善が重要です。規則正しい生活リズム、十分な睡眠、減塩食、ストレスを溜めないことが再発予防につながります。
突発性難聴はどのくらいで治療を始めればよいですか?
突発性難聴は、ある日突然片耳が聞こえなくなる病気で、時間との勝負です。発症から1週間以内に治療を開始することが望まれます。治療開始が遅れるほど回復の可能性は低くなります。治療の中心はステロイド薬で突然生じた難聴や強い耳鳴り、耳が塞がった感じ等の症状が出たら、迷わず早急に耳鼻科を受診することが大切です。
おたふくかぜで耳が聞こえなくなることがあると聞きましたが本当ですか?
はい。おたふくかぜはムンプスウイルスによる感染症で、耳下腺が腫れて発熱を伴います。まれに「ムンプス難聴」と呼ばれる片耳の高度難聴を合併することがあり、これは一度発症すると回復がほとんど期待できません。そのため予防が非常に重要です。ワクチンを2回接種することで、発症や合併症のリスクを大幅に減らすことができます。子どもが耳の聞こえに異常を訴えた場合は、必ず耳鼻科で聴力検査を受ける必要があります。
耳から膿や血が出てきた場合はどうすればいいですか?
耳から膿や血が出る原因は、中耳炎や外耳炎が多いですが、鼓膜が破れていたり、外耳道に傷ができていたりすることもあります。自己判断で耳を綿棒で掃除すると、かえって炎症を悪化させることがあります。放置すると重症化する恐れもあるため、必ず耳鼻科で診察を受けることが必要です。
耳の病気は日常生活で予防できますか?
耳の病気は完全に防ぐことはできませんが、生活習慣を整えることでリスクを減らすことができます。風邪をひいたら早めに治すことで中耳炎の予防になりますし、耳かきを控えることで外耳炎を防げます。プールや入浴の後は耳の中の水分を軽く拭き取り、長時間湿った状態にしないことも大切です。また、睡眠不足やストレスは耳鳴りやめまい、メニエール病を悪化させるため、十分な休養をとることも予防の一環となります。ワクチン接種はおたふくかぜやムンプス難聴の予防に非常に有効です。
中耳炎は自然に治ることもありますか?
軽度の中耳炎は自然に改善することもありますが、「治ったように見えるだけ」で中耳に炎症や膿が残っているケースも少なくありません。抗菌薬を使った場合でも、症状が軽くなった時点で自己判断で通院をやめるのは危険です。炎症が完全に治りきらないと、再発や慢性中耳炎、鼓膜穿孔につながることがあります。特に小さなお子さんでは、聞こえにくい状態が続くと、言葉の発達や学習に影響する可能性もあります。「症状が治まったあとに問題が残っていないか」を確認するためにも、医師から「治癒」と判断されるまで必ず再診を受けましょう。なお、「発熱が続く」「耳の痛みが強い」「耳だれ(膿)が出ている」場合は、自然治癒を期待せず、早めに耳鼻科を受診してください。
補聴器はどこで相談・購入すればよいですか?
補聴器は家電量販店や通販でも購入できますが、まずは耳鼻科での相談をおすすめします。聞こえにくさの原因には、加齢性難聴だけでなく、中耳炎・耳あか・突発性難聴など治療が必要な病気が隠れていることがあります。原因を確認せずに補聴器を使うと、症状が悪化したり、適切な補聴効果が得られないこともあります。当院では補聴器相談・補聴器外来を行っており、
- 聴力検査
- 補聴器が必要かどうかの判断
- 機種選びのアドバイス
- 試聴・調整
まで、医師と専門スタッフが一貫して対応します。
補聴器はすぐに購入しなければいけませんか?
いいえ、無理に購入する必要はありません。補聴器は実際に装用してみて、生活の中で「聞こえがどう変わるか」を確認することが大切です。当院の補聴器外来では、試聴や調整を重ねたうえで、本当に必要かどうかを判断します。「とりあえず相談だけ」「話を聞いてみたい」という方も、安心してご相談ください。
補聴器はいくらくらいかかりますか?
補聴器の価格は、性能や機能によって幅があり、片耳で数万円台〜数十万円までさまざまです。大切なのは「高い=よく聞こえる」ではなく、ご本人の聴力や生活環境に合っているかどうかです。補聴器外来では、ご予算や使用目的を踏まえ、無理のない選択肢をご提案します。
補聴器を使えば、聞こえは元どおりになりますか?
補聴器は聴力を回復させるものではなく、聞こえを補う医療機器です。そのため、最初は「音がうるさい」「違和感がある」と感じることもありますが、調整を重ねることで徐々に慣れていきます。補聴器外来では、装用後のフォローや微調整も行い、使い続けられる状態を一緒に作っていきます。
家族が補聴器を嫌がっているのですが、相談できますか?
はい、可能です。補聴器に抵抗を感じる方は少なくありませんが、聞こえにくさを放置すると、会話が減り、認知機能や生活の質の低下につながることもあります。ご本人だけでなく、ご家族と一緒に相談していただくことで、不安や誤解を解消しながら、最適な選択を考えることができます。